ターンオーバー

ターンオーバーとは、肌の新陳代謝、生まれ変わりのことをいいます。

皮膚は「表皮」「真皮」「皮下組織」の3つから成りたっています。
表皮は一番内側から「基底層(きていそう)」
「有棘層(ゆうきょくそう)」「顆粒層(かりゅうそう)」
「角質層(かくしつそう)」と4層構造になっています。

新しい表皮細胞は基底層で生まれます。
その細胞が約28日かけて角質細胞となります。

古くなった角質細胞は新しくできた角質細胞に押し上げられるようにして表面まで上がり、最後は垢(アカ)となって自然に剥がれ落ちます。 このサイクルを“ターンオーバー”といいます。

ちなみに私たちの素肌に関してですが、28日おきに新しく生まれ変わっているわけではありません。
素肌の細胞が、毎日新しく生まれ変わっているのです。
ですから、“一つ一つの細胞の寿命が28日”だと言われています。

表皮について

一番内側から「基底層」「有棘層」「顆粒層」「角質層」の4つの層に分かれています。

基底層(きていそう)

基底層は表皮の一番下にあり、新しい表皮細胞を生み出します。
血液から栄養分と酸素をもらい、新しい細胞を作り出します。
ちなみに、ここでシミも作られます。

この基底層は、ケラチンやメラニン色素が生成されるケラチノサイトとメラノサイトという細胞から構成されています。
ケラチノサイトから分裂した細胞が、有棘層へ上がっていきます。

有棘層(ゆうきょくそう)

表皮4層の中で一番厚い層で、有棘細胞が10層くらい重なって出来ています。
有棘細胞の表面は多くの細かい棘状に覆われ、細胞同士が固く結合しています。

またこの層の中にあるランゲルハンス細胞は免疫機能に関わっています。
基底層で作られたメラニンを含み、紫外線の透過を阻止。皮膚に栄養を与え老廃物の交換などを行うため、細胞間にはリンパ液が流れています。

有棘層の上層まで来た有棘細胞は、細胞内でケラトヒアリン顆粒と呼ばれる顆粒を作り始め、顆粒層に移動します。

顆粒層(かりゅうそう)

有棘層から移動してきた細胞は水分を失い、少しつぶれた扁平な形をした顆粒細胞になります。
顆粒細胞からなる数層の層で、角質層とともに、肌に対するバリア機能があります。

細胞質中にケラトヒラリン顆粒というガラス状の粒が多く存在し、紫外線を強く屈折させ、 肌の奥へ浸透するのを防ぎます。
また、この顆粒層でNMF(自然保湿因子)や細胞間脂質(セラミドなど)が生成れ、角質層に放出されます。

角質層(かくしつそう)

肌の一番表面にある表面細胞の死んだもの(角質細胞)から出来ているのが角質層です。
その層は約14層が重なり合って出来ています。
さらに、ケラチンというタンパク質・セラミドが角質細胞の間に埋まっています。

この角質層に達した細胞は核の無い状態になっています。
これ以上分化しない生命力の無い細胞になってしまい、このような状態になることを“角化”といいます。
この角化が正常に機能することで、表皮の厚さを一定に保つことが出来ています。

角質層は約30%の水分を含んでおり、その厚みはわずか0.02ミリほど。
この薄い角質層が皮膚を外部から守ってくれるのです。
角質層が正常に機能しないと、すぐに乾燥肌となります。

また、角質層の表面は、皮脂腺や汗腺などから分泌された皮脂に覆われていますが、これを皮脂膜と言い、通常は酸性です。
この酸性の皮脂膜がバクテリアなどの菌の増殖を抑え、感染から防いでくれます。

表皮について

真皮は表皮の下にあり、約70%がコラーゲンといわれる膠原線維で出来ています。
コラーゲンの所どころにエラスチンと呼ばれる弾性線維がありコラーゲンの構造を支えてくれています。

肌に弾力を持たせる弾力線維(エラスチンが主成分)は、真皮の1~2%しかなく、年齢と共に減少していきます。

その2つの線維のまわりを埋め尽くすようにヒアルロン酸というゼリー状の物質が存在し、真皮の水分を守っています。

乳液や美容液などにコラーゲンエキスを含有しているものがありますが、肌表面に塗られたエキスが真皮まで到達することはないと考えられています。

ですから、人工的に真皮にコラーゲンの補給をするには、皮膚に直接注射をするのが一番良いようです。

皮下組織について

皮下組織は皮膚の一番底の部分(真皮の更に下)にあります。
この皮下組織はほとんど脂肪(皮下脂肪)で出来ています。
体温を保ったり外部からの衝撃を和らげる役割をしています。
真皮と表皮の働きをサポートするための栄養を蓄えている、肌の基盤となっている層です。

皮下組織の厚みは男女や年齢によって個人差があり、身体の部位によっても異なります。
ここに蓄えられる脂肪のことを、“皮下脂肪”と呼んでいます。

皮下組織は本来、真皮がつかまえてくれているのですが、年齢とともに真皮のつかむ力は衰えてきます。
その結果、皮下組織は下へ垂れ下がってしまいます。
これが「タルミ」の原因です。
ちなみに、ターンオーバーは年齢によって周期が変わります。
周期には個人差があり、一般的には加齢とともに新陳代謝が低下し、30代~40代になると45日程度はかかるといわれています。

ですから、年齢とともに傷が治りにくくなったり、肌がくすんだり、シミが増えたなどの症状が現れたら、ターンオーバーの機能が低下しているサインかもしれません。